「枝豆と唐揚げを、あの席にお願いします」
春に入籍すると抜かしていた地元の友人。
春はとうに過ぎた先日、恐る恐る奴に聞いてみました。
『そいや結婚すると言ってたけどどうなの?』
答えは秋になったとのこと。
昔の話になります。
どこにでもある魚民か和民かそんな類の居酒屋で奴と飲んでたときの話です。
なにやら向こうの席にかわいい女子二人組がいるとのことで、我々は盛り上がり始めたのでした。
奴に聞きました『どうすんの声かけんの?』するとオレに任せろと言わんばかりに『いや』と答えます。何か作戦があるのでしょうか。
僕は奴の大船に乗ってみることにしました。どうせ成功するはずがありませんからね。失敗したあとが面白いんですよ奴は。
コレと決めたら突き進むのが奴って男。
『すいません!』奴が店員を呼びました。『枝豆と唐揚げをあの席にお願いします』『かしこまりました』。いやいや店員スムーズすぎるでしょ。一昔前のナンパを大衆居酒屋で実行する奴も奴ですがね。
しばらくして店員が二人組に持っていったのが見えました。
胸が高鳴ってきました。
彼女たちが喜ぶからではありません。奴を思いっきりコケにすることができるからです。そんな古いナンパなんて流行んねって話でもう一軒確定していましたから。
ところがなんだか様子がおかしいのです。
2人の女子がニコニコこっちを見てるんです。
奴はその笑顔を見逃さず、スタスタ歩き彼女らの席の前で立ったまま話しています。
次の瞬間目を疑いました。
なんと奴が彼女らの席に座って話しだしたのです。そしてこっちにおいでと手招きし、僕が合流、4人で飲むことになったのです。
奴はそんな男なんです。
そして奴は味オンチでもあります。
ある焼肉屋に行ったときの話です。
その店、生ビールの管を洗浄してないのでしょうね。
腐いビールに僕はすぐムムムっとなりましたが、奴は普段と変わらずがぶ飲み。
いやいやこういうわけで臭くて飲めたもんじゃないわと話すと『おれも我慢して飲んでた』などと平然と、誰の目にも明らかな嘘をつくような、憎めないような男でもあるんです。
その男が結婚するとなれば10万や20万円は包まねばなりません。
秋まで伸びたのであれば、それはそれでラッキーです。友人の結婚より一人飲み。サイテーなのは分かってます。一人飲みって楽しすぎるんですもん!
今回もなかなか面白い店を発見してしまいました。
もし奴が来たとしてもハマることでしょう。
「ご立腹されていらっしゃるようですので、も、申し訳ありません」
店はビルの3階にあって、外観はこんな感じ。タイ料理の看板。
階段を登って3階へ。
エキゾチックに誘います。
白髪のマスターが迎えてくれました。
店内は大きめのU字のカウンターがあり赤い暖簾の奥にキッチンがある模様。
カウンターに腰を下ろすとドリンクの説明が始まりました。
「飲み物はセルフでお願いしておりまして」
「セ、セルフと言うと立腹されて帰られる方がいらっしゃいます」
「い、いえ、申し訳ありません、私のほうで作らせていただきます」
「ご立腹されていらっしゃるようですので、も、申し訳ありません」
「も、申し訳ありません」
その間、僕が言葉を挟む余地はありませんでした。
なんだか個性的なマスターのようです。
僕は怒ってませんけどね。セルフ最高じゃないですか。
「いえセルフなら自分でやりますよ」と言っても、申し訳ありません私がやらせていただきますと言って聞きません。まあどっちでも良いんですが興味深いマスターです。
セルフのバーコーナー

個性的で腕の良いマスター
店内は扇風機やタイの音楽で東南アジアな雰囲気。嫌いじゃないですねこういうの。

レトロな扇風機

タイ王国のカレンダーか

タイの有名な歌手!?
せっかくなのでタイのビールをお願いしました。ドリンクは通常500円、タイビールはプラス200円。
今週も一週間おつかれ!うん、変わったビールもたまにはいいですね。
てかなんで何時間も仕事してんだろ。午後は毎日オフでよくね?
お通しはオイキムチ
酸っぱめ。
席はカウンター12,3席くらいと座敷
メニュー
タイのさつま揚げ600円をお願い。
出てくるのが早い。かと言って出来合いじゃなく、店主は包丁を持つと人が変わるのかもしれません。超テキパキ、仕事が早い。
うん美味しい!ホットチリソースをかけて召し上がります。
もちろん多少のクセがありますよそりゃタイ料理ですから。でも美味しい。
世界3大スープのひとつトムヤムクン800円↓
クセはあるけど美味しいです。クリーミィで、辛さが心地良い。
アハーンタイ、それは最もデート向きなお店
店内から見た入り口↓
一組のカップルが来店されたのですが、予約で一杯ですと断れていました。
えっ?僕しかいないけど。確かに一組予約あったようで後から来ましたが3人だけでした。アハーンタイに行くときは予約必須ですね。あは~んタイ
生春巻きもお願い↓800円
口に入れた瞬間その口当たりと歯ごたえでうめっ!と叫びたくなります。
しかもビール2杯、ハイボール、さつま揚げ、トムヤンクン、生春巻きで3000円ちょい。安っ!
ただパクチーの香りがだんだんしつこく感じてきます。ほどほどにして足繁く通うのが正しいアハーンタイの使い方ですね。あは~ん
たまにはこんな料理いいですね。
すごく良いです。
なんか思ったんですが、こういう変わった料理の方が感想を共有しやすいですよね。例えば、辛いとか酸っぱいとかクサいとか。
フレンチやパスタなどシャレたものよりよっぽど距離を縮めるのに向いてるんじゃないでしょうか。デートとかね。知りませんけど。
アハーンタイ。入店を断られたカップルは女子の方が先導してた感がありますし、予約してたのも女性でした。女子に人気がある店ですね。
もちろん一人飲みは最高ですが、誰かと一緒にイキたくなる、そんな素敵なお店でした。あっは~ん